コロナ禍の現在、健康不安、将来への不安、人間関係希薄化、行動抑制や制限による自己決定の低下など、自分では気づかないうちに脳深部は大きなダメージを受けている。特に、抑うつはコロナ禍以前と比較して倍増している状況だ。ストレスを対処するにはどうすればよいのか。今回は、日本ストレスケアカウンセラー協会の美野田晃大さんに話を聞いた。
日本ストレスケアカウンセラー協会では、人間本来の自然性を回復し、健やかな自己実現を進めていくことを目的としている。主に、会員相互の交流と情報交換を行い、ストレスケア実践者として資質向上のための知識技術の研さん機会を設けている。また、コロナに克つために「誰もが今すぐできる、心と体がスーっと楽にできる動画」を昨年4月からユーチューブで配信している。「ステイホームのストレスに負けない!なかよし家族の生活術シリーズ」という、一般的な家庭を題材としているため、楽しみながらストレス対処法を学ぶことができる。
心理的ストレスは、無理な環境や人間関係などからくる刺激の耐性が、個人の限界を超えたときに「戦うか逃げるか」の自分自身を守る、本能的な防衛反応である。そして、その刺激に対して適応しきれない場合に生理的、生化学的変化が生体に発生し、内分泌や自律神経系を介して、ストレス反応は起きる。それらを対処するには、ストレスのメッセージである身体的なサインに気づくこと、生理学的リラクゼーション状態(relaxation)を作り出し自律神経系を安定させること、自己受容力を高めていくことの3つが必要になる。「ストレスは自己成長に欠かせない原動力だ。ストレスを回避するよりも、ストレスと向き合いコントロールすることが大切だ」と美野田さんは語った。
最後に、美野田さんは「コロナ禍があったから今の自分があると視点を変え、どんどん新しいことにチャレンジしてほしい。悩まず、腐らず、力を抜いて歩んでいってほしい」と学生にメッセージを送った。