過度な寝返り、寝起きの肩こりが酷い、目覚めが悪い。こんな症状の原因は枕にあるかもしれない。睡眠時、頭部は体重の約8%を支えている。この8%を偏った姿勢で支えることは腰痛や肩こりといった症状につながるのだ。睡眠と深い関係のある枕について、枕のプロフェッショナルである「じぶんまくら」の商品部橋本さんに話を伺った。
そもそも睡眠時の理想的な姿勢は「立ち姿のまま横たわる」という姿勢だ。通常、人間の首もとは緩やかなS字型に湾曲している。このS字型を保てるよう、頭と寝具との隙間を埋める役割を果たすのが枕だ。後頭部、首、肩とより多くの部分で体重を支えることにより、首に負担をかけずに眠ることができる。つまり枕とは頭を支えるためではなく、首を支えるためのものなのだ。よって、枕は頭を乗せるだけではなく、肩につくまで深く当てるというのが正しい当て方だ。
枕を選ぶ際には主に次のニ点に留意したい。一つ目は高さだ。首の湾曲具合は個人により異なる。橋本さんは「多くの人は枕の高さをなんとなく選んでいる。自分に合った正確な枕の高さを知らない人も多い」と語った。布団と首筋の間にできる空間の大きさを測るためには専門店での計測が必要になる。
二つ目は硬さだ。枕が柔らかすぎる場合、頭部が深く沈みこみ不安定になってしまう。しかし、硬すぎると頭部との接触面が少なく負荷が大きくなってしまう。枕のふさわしい硬さは自身のBMIなどにより決まる。がっしりとした体型ならば体をしっかりと支えるために硬めの枕、逆に細身ならば体重を分散するために柔らかめの枕がふさわしいそうだ。枕の素材はポリエステル綿、コルマビーズ、パイプ、そば殻など多岐にわたる。自身に合うものを選ぶことが重要となるのだ。
このように、個人によって科学的に合う枕が存在している。なんとなく選んだ枕は、自分の首の高さと合っていない可能性があるのだ。これからますます暖かくなり、睡眠の季節を迎える。この機会に「じぶんまくら」で自分に合う枕を確かめてみるのはいかがだろうか。