本学硬式野球部OBで、現千葉ロッテマリーンズ(以下ロッテ)監督の井口資仁さん(96年度・国経卒)が今季で監督5年目となるシーズンを迎える前に、本誌の取材に応じてくれた。
昨季、ロッテはオリックスバファローズと熾烈な優勝争いを演じるが141試合目で力尽き、05年以来16年ぶりのリーグ優勝とはならなかった。昨季について井口さんは「自分が監督になってから確実にチームが強くなってきている。優勝目前で負けた悔しさは我々首脳陣も選手も持っている。何とか今年は優勝できるように1年間気持ちを持って戦いたいと思う」と前を見据えた。
井口さんは18年にロッテの監督に就任。前年借金33で最下位、投手も野手も総崩れの状態から、若手の育成と勝ち負けを両立させながら、昨季は36年ぶりに2年連続2位以上を達成させ、ロッテを強いチームへと進化させた。飛び抜けたスター選手はいないものの、選手全員で束になって戦うロッテのスタイルは井口さんが目指す理想の野球だという。「今のチームは日本人野手がそれほど長打力があるわけではないので、とにかくノーヒットでも1点を取ったり、アウトになってもランナーを次の塁に進めるという野球を目指している」と井口さんは話す。実際に指標を見てみると、昨季のチーム打率は.239でリーグ5位タイながら、得点、出塁率、OPS、盗塁、犠打がリーグ1位。盗塁王と最多安打を獲得した荻野や安定した成績を残した中村、打点王争いをしたレアードなど強力な野手陣が揃っており、粘り強い野球ができている。
投手陣もエースと呼べる選手はいないものの、先発では小島や岩下、後半戦からは石川が奮闘。中継ぎでは最多セーブをあげた益田を筆頭に佐々木千隼や国吉、小野や唐川など鉄壁なリリーフ陣を作り上げた。
その中で井口さんが特に重視するのは若手の育成だ。昨季は途中まで安田を4番で使い続けるなど積極的な若手起用が目立った。そのことについて井口さんは「現場だけでなく会社として中長期のビジョンがある。それは3年後、5年後、10年後と常勝軍団を作ること。そのためには若手の台頭がなくてはならない。若手は積極的に経験を積ませないと育たないので、我慢してでも使っている」と語る。ロッテの期待の若手には、野手では、昨季途中まで打点王だった大砲・安田や昨季7、8月の月間MVPに輝いた藤原、日本人チーム本塁打数2位(9本)の山口などに加え、投手では最速163キロの豪腕・佐々木郎希などがいる。今季について井口さんは「若手が中堅ベテランをどのくらい底上げしてくれるか期待している」とし、「今季はもう若手を特別扱いせずに勝つための采配をする。若手にはブレイクしてもらわなければならない」と常勝軍団を作るため、若手陣にはっぱをかけた。
最後に、井口さんの出身でもある本学硬式野球部、そしてこの春入学する新入生に向けて「野球部に関してはようやく1部に上がれた。青学といえば野球と言われるように頑張ってほしい」とし、「自主性を重んじるというのが青学のカラーだと思うので、こういう時期だからこそ、学生生活を楽しんでほしい」とエールを送った。
リーグ優勝から17年。背番号6が胴上げされる未来はそう遠くない。