かわい・あつし 昭和40年生まれ。
文学部史学科卒業。平成元年から28年までは都内の公立・私立高校で教員として勤務。
講演会・テレビで日本史を解説する傍ら、日本史に関する著作も多く、様々な賞を受賞。
また、多摩大学客員教授早稲田大学非常勤講師を務めている。

27年の教師歴を生かす 
日本史の伝道師

―大学時代の思い出は何ですか?

 古美術研究会に所属して活動したことです。メンバーで京都や鎌倉の建築や仏像などを見に行っていました。

―史学科を選んだ理由を教えてください。

 もともと歴史が好きだったからです。当時はバブルの絶頂で、青学はとても人気がありました。大好きな歴史をたくさん学べて本当に楽しかったです。

―どうして高校の日本史教師になったのですか?

 テレビで「3年B組金八先生」を観たことで、教師になりたいと思うようになりました。高校時代に、「金八先生」が尊敬している坂本龍馬について書かれた『竜馬がゆく』を読んで感激し、日本史教師になろうと思いました。

―高校教師だったときからたくさんの書籍を執筆していますが、どのような経緯で執筆を始めたのですか?

 教員になった当初、私は特別支援学校に配属されました。そこで勤務した3年間は、自分が好きな日本史を教えられないというジレンマを抱えました。そこで、自分自身で先祖のことや高校周辺の城の歴史を研究し、論文を書きました。その論文が賞を取ったことで、歴史研究や書籍の執筆を始めました。特別支援学校の次は定時制高校の教員となったため、空いている昼間に大学院のゼミで歴史を研究しました。ここから本格的に歴史を研究するようになりました。

―大学生や社会人になって、歴史を学び直す人も多いですが、どのように学び直すのが良いのでしょうか?

 やはり、興味を持った時代を楽しみながら学ぶのが良いと思います。ロマンを追いたいという方には古代史がおすすめですし、歴史から教訓を得たいという方には偉人の言葉がおすすめです。

「歴史学」というのは、史料を集めて過去の事実を明らかにする学問です。ただ私は、そこから得られる教訓や楽しさを一般の方に広めるため、本を執筆しています。過去の出来事を学ぶことで現在や将来に生かせることがあります。歴史を学び直す際には、そのことを意識して本を読んでもらうと良いと思います。

―青学生にメッセージをお願いします。

 後輩の皆さんにはぜひ社会で活躍してほしいです。また、大変な現代を乗り越えるために、歴史を活用してもらいたいです。