世代を問わず多くの人を魅了する「コスメデコルテ」、「雪肌精」などのブランドを生み出したコーセー。76周年を迎え創業以来培われた研究開発力を背景とした商品は多くの女性を虜にしてきた。電子版ではコーセー が長年にわたり取り組むサステナビリティの精神について、コーセー経営企画部副部長兼サステナビリティ戦略室長、持田卓也さんに話を聞いた。

服装や髪色と共に自由度が増し、大学生が楽しみ出す化粧。新入生のなかには、はじめてメイクをする、という方も多いのではないだろうか。私たち大学生にとって、化粧とは生活の一部と言っても過言ではない。今回はそんなメイクやコスメについて「サステナビリティ」という観点から見ていく。

サステナビリティという概念が誕生したのは1987年。国連が「環境と開発に関する世界委員会」で公表した報告書「われら共有の未来(Our Common Future)」で提起された。コーセーはサステナビリティという言葉が、現在のように世の中に浸透する以前から「美しい知恵 人へ、地球へ。」を企業メッセージとして掲げ、様々な環境へ配慮した取り組みを行ってきた。2020年4月にはコーセーグループ全体のサステナビリティに関する取り組みと2030年までの目標をまとめた「コーセー サステナビリティプラン」を策定。サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みや、事業活動を通じた社会課題の解決、情報開示などの積極的な取り組みを行っている。

例えば、コーセーの人気スキンケアブランドの雪肌精の「雪肌精 クリアウェルネス」シリーズは外箱に段ボール素材を採用している。容器にはバイオマスプラスチックを採用。素材の質感をそのまま生かしたパッケージは、シンプルなビジュアルからもサステナブルな姿勢を感じさせる。

雪肌精 クリアウェルネス

私たち大学生にとっても環境問題は重要な課題だ。化粧品選択において私たちにできることは多く存在する。例えば、化粧品を選択する際の新たな視点に「容器の素材」を加えるのはどうだろうか。容器素材へのこだわりも製品特長のひとつである。ドラッグストアなどで行われるボトルなどのプラスチック容器の回収に協力することもできる。化粧品に対する価値観を変えるための企業の取り組みは、興味をもたなければ耳に入らない。「環境問題は自分ごとであるという意識こそが、持続可能なより良い社会に繋がる」と持田さんは語る。

また、サステナビリティとは環境問題に留まらない。人への配慮も持続可能な社会を作るためには必要不可欠だ。性別、年齢、国籍、肌の色、価値観など、多様なバックボーンを持つ人々が、自信を持って美しく生きる社会の実現のためコーセーはアダプタブルな商品開発やサービスの提供を行っている。1970年から続く最高級ブランド「コスメデコルテ」では、グローバルな色幅に対応するため、ファンデーションを全40色で展開する予定で、4月16日から日本先行で18色が販売される。肌色だけではなく多様な肌印象、肌悩みを捉えるため700人ものデータを解析することで生まれた。「この化粧品は私を対象として作られたものではない」と考える人を減らしていくことが最終的な目標であるそうだ。

コスメデコルテ ゼン ウェア フルイド

環境、人、社会、この全てが心地よい世界を作るためには、私たち一人一人の意識改革が必要である。生活に身近な化粧品への見方が変わることはサステナブルな社会を作るための大きなきっかけになるはずだ。