今年で76周年を迎えたコーセー。近年は韓国コスメ、中国コスメなど海外の化粧品が注目されるなか、独自の魅力を放ち続けている。電子版では、マーケティングについてコンシューマーブランド事業部KOSÉ企画室販売企画課、納村くりあさんに話を聞いた。
多くの化粧品が市場に溢れている日本で、販売においてどのような点を重要視しているのだろうか。納村さんによると「お客さまの視点に立つことを大切にしている。どのような商品ならばお客さまがワクワクするかを考え、ブランディングを行っている」という。販売側からの視点だけでなく、自分がお客さまならどのような商品を使いたいかを考えることがより良いプロモーションへとつながるそうだ。また、「多くの化粧品の中から選んでもらうために、他の製品との差別化も意識する」と語った。
例えば、現在納村さんが担当しているスキンケアブランド「ONE BY KOSÉ」から2021年8月に発売した高保湿化粧水 ザ ウォーター メイトでは「世界初※ ヒアルロン酸×セラミド複合体*配合」という独自の価値をメインに訴求することでお客さまの期待感の醸成と差別化を図っている。
※ヒアルロン酸・セラミド複合体形成のキー成分(ヒアルロン酸Na・セラミドNG・ステアロイルメチルタウリンNa・イソステアリン酸PEG ―8 グリセリル・コレスー10)の選択が世界初である。先行技術調査及びMintel 社データベース内 2021 年2月 コーセー調べ
*ヒアルロン酸Na・セラミドNG・ステアロイルメチルタウリンNa・イソステアリン酸PEG ー8 グリセリル・コレスー10(保湿)
これらのプロモーションは自社利益のためだけに行われているのではない。魅力あるプロモーションと正確な情報提供を行うことで、私たち消費者は自身に合った化粧品を選択しやすくなるのだ。店頭スタッフへの美容教育はその最たる例だろう。ただ売るのではなく、消費者が満足して商品を選べるように説明を尽くす。これは消費者に対し付加価値を提供するためのプロモーションであるといえる。パッケージや店頭陳列においての販促物も商品選択がしやすくなるように様々な工夫がされている。
このようなプロモーションは、ターゲット層の声を聞く力から生まれている。社内でのヒアリングや調査会社を通した商品購入者への聞き込みはもちろんのこと、口コミサイトも情報源となっているという。口コミサイトやSNSでの評価をプロモーション実施後に確認することで、生の声を取り入れているのだ。お客さまから特に好評であった意見は次回のプロモーションにも取り入れ、既存顧客のさらなる満足度を高めるとともに、新たな顧客獲得へとつなげる。あなたが何気なく書いたその書き込みは、商品のプロモーションを動かしているかもしれない。
その研究・開発力で化粧品業界を牽引してきたコーセー。革新的な商品が私たちの元へと届くまでにはプロモーションが大きな役割を果たしている。私たち「一人ひとりのきれい」を追求する企業、コーセーにこれからも注目だ。
[…] (販売について後半に続く) […]