2019年より3年間に渡り本学理工学部のAOYMA VISIONプロジェクトで力を注いできたライフサイエンス研究。その永続的な発展を目指し、4月、理工学部附置ライフサイエンス研究センターが発足した。「基礎研究を行うことは、巡り巡ってあらゆる分野の発展につながる」。そう語ったのは、本センターの設置に尽力、現在はそのセンター長を務める理工学部化学・生命科学科の阿部文快教授だ。未解明の生命現象の発見やそのメカニズムを解明するための技術開発などを目的とした本センター。「研究拠点としてセンターを設置することで、短期的なものではなく、長期的に安定した研究が実現する」とし、今後の本学のライフサイエンス研究の発展にも意欲を見せた。
阿部教授が主に研究しているのは酵母菌だ。「意外にもヒトの細胞とかなり似ている」。一見して関係のなさそうな両者だが、酵母菌の研究を通して病気のメカニズムを解明することもできるという。このように基礎研究を通して事象の根本を探ることで、新たな着想に至ることもある。また基礎研究をベースに様々な活用方法を企業が見出し製品化するなど、生命の基礎を探ることは、医療や研究の枠を越えて私たちの生活にも直接かかわってくる。「世界で初めて知ることに研究の意味がある」。前例に頼らず新たな道を切り開くことになるのだ。
阿部教授の研究室には様々な装置が並んでいた。顕微鏡横のモニターには無数の酵母菌が映し出され、充実した設備の中、学生たちが研究に励んでいた。今後、本センターには多くの研究者が集い、それぞれの研究を本格化させていくという。地道な努力が様々な分野へと広がるライフサイエンス研究。今後の発展から目が離せない。