だんだんと夏に近づき、暑い日が続いている。こんな時に食べたくなるのがアイスだ。そこで「MOW」や「PARM」などロングセラーアイスを生み出している森永乳業株式会社、営業本部マーケティング統括部の橋川淳一さんと別所冴夏さんに話を聞いた。

 森永乳業は1950年代からアイスを発売している。今までに発売したアイスは「MOW」のようなカップアイスや「PARM」のようなバーアイス、「ピノ」のような一口タイプ型のアイス、「栗入りあずきモナカ」のようモナカアイス、「森永の焼プリンサンドアイス」のようなサンドアイスなど、そのジャンルは幅広い。

そのなかでも「PARM」と「MOW」、「ピノ」のおいしさの秘訣を橋川さんに聞いた。「PARM」は大人のためのアイスバー。そのこだわりは、はむっと食感。濃厚なアイスにコーティングされたチョコが体温で溶けようになっている。そして「MOW」。MOWは素材本来の味を大切にしている。そのため、乳化剤、安定剤を使わず、やさしく丁寧な味になっている。最後に「ピノ」。ピノは森永乳業のアイスのなかでも特に人気のアイスだという。ピノは昨年で発売45周年を迎え、幅広い年代に愛されている。その人気ぶりは計り知れず、1年間の出荷数分のピノを横に並べると、地球約1周分になるそうだ。そのおいしさの秘訣は「食べやすい形状」と「チョコとアイスの絶妙なバランス」にあるという。また味だけではなく、キャラクターとコラボしたパッケージを発売したり、最近ではフタ裏にピノを食べる数分間を楽しめる「ピノゲー」というゲームを載せたりしている。さらに、アソートタイプのピノでは「ピノガチャ」という、組み立てるとガチャガチャのようになるパッケージを発売するなど、みんなで楽しむことのできるピノも発売されている。橋川さんは「ゲームなどを通して楽しい気持ちになってほしい」と話す。

森永乳業は定番品から期間限定品まで合わせると、年間約60種類(そのなかでも新作は約30種類)ものアイスのラインアップがある。それではどのような過程を経て商品開発を行っているのだろうか。

まずは、マーケティング担当が競合他社や顧客の状況などの市場分析を行い、それを基に具体的な商品のコンセプトに落とし込んでいくそうだ。顧客がこの商品を食べたらどのような気持ちになるのかなどを考え、商品設計をし、味わいのイメージを組み立てていく。それをもとに、研究所やデザイナーなど様々な人の手により、商品を作りあげていくという。商品を開発する上で難しいことについて別所さんは「正解がないことだ」と話す。市場分析をして、自信のあるコンセプトを考えても、売り上げが良くないときがあり、顧客が求めている商品とコンセプトにギャップを感じることがあるという。しかし、「失敗の要因を分析し、次につなげていくようにしている」と語った。

 しかし、商品開発をする上で嬉しいこともあるという。別所さんは「発売までに時間がかかる分思い入れも強くなる。そのため、発売を迎えたときが嬉しい」と話す。また最近ではSNSですぐに顧客の声が拾えるようになっているそうだ。「美味しい」「食べてみた」など話題になっていることがすぐに届くようになっている。そのため、「SNSで顧客の反応を見たときに頑張ってよかったと思う」と話し、橋川さんも「SNSで話題になったり、メディアで取り上げたりされると、嬉しい」と話した。また、森永乳業の商品はスーパーやコンビニエンスストアを介して売られることが多いそうだ。そのため「お店に自分の作った商品が並び、買ってもらった瞬間を実際に見ると、やりがいを強く感じる」と話した。

最後に、今後作っていきたい商品について「歴代商品のように、様々な人から愛される商品を作りたい」と別所さんは語った。

これからますます暑くなるだろう。美味しいアイスを食べて、暑い夏を乗り切ろう。