6月25日、本学聖歌隊による「チャリティ・コンサート~ウクライナ戦禍を覚えて~」が開催された。対面で実施された2年ぶりの演奏会で、多くの観客が聖歌隊の神秘的な音色に耳を傾けた。

今回のコンサートについて、聖歌隊隊長の中山実優さん(史3)は「平和に対して改めて深く考える機会を設け、苦しんでいる人々に思いを寄せる」ことが目的だったと話す。

聖歌隊は、本学のキリスト教理念に基づき音楽による奉仕を行う団体だ。活動の幅は学内にとどまらず、学外の教会で奉唱したり、演奏旅行や合宿を行ったりもしている。普段は水曜日と土曜日にそれぞれ3時間ずつ練習をしており、夏休みには集中的に練習をするそうだ。練習の段階からパイプオルガンの生演奏に合わせて歌うことが特徴的だと中山さんは語る。また、指揮者などのプロによる指導によって、歌唱技術の向上のみならず、細かい音の修正や曲に対する認識の共有もするという。

今回演奏した「フォーレ・レクイエム」は昨年秋の定期演奏会にて演奏する予定だったものだ。演奏会の中止を余儀なくされ、ユーチューブでの公開になっていたという。中山さんは「チャリティ・コンサートの主旨と曲のテーマがちょうど一致していた。長期にわたって練習してきたこの曲を、細かな部分までブラッシュアップさせてお客さんに届けることができた」と語った。

演奏会は、終始厳かな空気の中で行われた。曲によって音の強弱や隊員の表情が異なり、一音一音に心を込めて歌っていることが伝わってきた。オーケストラの演奏と聖歌隊の演奏が見事なハーモニーを生んでおり、「レクイエム」というタイトルにふさわしい神秘的な音がこだました。途中で挟まれる聖書朗読も心地の良いもので、キリスト教文化を肌で感じることができた。キリスト教音楽の魅力に惹かれ、あっという間の一時間であった。

中山さんはコンサートに向けての練習で大変だったことについて、「音の高さと表現で、納得できる音になるまで何度も音の高さや厚みを調整したことだ」と話した。また、歌詞がラテン語やフランス語であることから、発音にも苦労したそうだ。長い時間をかけて一生懸命練習してきたからこそ、終わった後の安心感と達成感は大きかったという。

観客へのメッセージとして、「コンサートへの来場と募金の協力に感謝している。皆さんに美しいメロディーを届けられていたら幸いだ」と隊員一同の思いを話した。「感動した」、「素敵だった」という感想を観客からもらえたこともうれしかったという。

聖歌隊の次の公演は、10月上旬の定期演奏会である。中山さんは「誰もが知っているとても有名な曲を演奏する予定だ。今回のコンサートの反省を活かしてさらにクオリティを高めたい」と展望を語った。

最後に本学学生へ「聖歌隊は演奏会以外にも礼拝奉仕など年間を通してさまざまな活動をしている。クリスマスコンサートなどもやるので、ぜひ一度聖歌隊の歌声を聴きに来てほしい」とメッセージを送った。

聖歌隊には、大学に入ってからキリスト教や音楽に触れた隊員もいるという。隊員に共通していることは皆歌うことが好きであるということだ。今後開催される聖歌隊の演奏会が待ち遠しい。