全日本パワーリフティング選手権が5月23日に開催された。本学パワーリフティング部の金子将也(英4)、富田慎之介(総4)は並み居る強豪たちを抑え見事ジュニア優勝という結果を残した。
本学で、陸上部と並び、全国レベルの強豪部と称されるパワーリフティング部。その部の中で、注目を集めている選手が、金子と富田だ。取材中の彼らは王者と呼ぶにふさわしい毅然とした態度で質問に応じていた。
まず彼らに、今回の大会に出場した感想や結果をどう思うかについて聞いた。金子は今大会について、「今回の選手権は参加者が少ない。どちらかというと自分との戦いで、去年の数字を上回ることを意識して臨んだ」と語った。
一方の富田は「自分は今大会に備え、プロのオンラインコーチに練習メニューの作成を依頼した。そして大会当日まで、そのメニューに沿って練習を行った。今回の結果は工夫した練習の賜物であると思う」と話した。一方で、今大会ではジュニアの部の他に、社会人もエントリーできる一般の部も同時開催された。富田は一般の部にも参加したが、優勝できなかったそうだ。富田は、「ジュニア、一般両方で優勝したかったが、それができず、残念だ」と語った。
金子、富田の選手生活は長い。金子は高校3年から、富田は高校1年からパワーリフティングを始めた。彼らは今まで数多くの大会で輝かしい成績を収めてきた。しかし、そんな順風満帆に見える彼らにも、思わぬ挫折経験がそれぞれ存在した。金子は「新型コロナウイルスが流行した時、世界選手権が中止になった。今までいい結果を残そうと努力してきたのにそれが無駄となり、悔しい思いをした」と語った。富田は「高校最後の全国大会で優勝できなかったことが未だに悔しい。高校1年生から出場してきた全ての大会で、優勝を収めてきたが、その大会で初めて敗北を味わった。高校生活を締めくくる試合であっただけに悔しさは計り知れない」と語った。
そんな挫折を味わった2人だが、その経験があるからこそ、今の自分があるとも語った。金子は「全国大会がなくなったことで、一時はもう試合に出られないのではと不安になった。しかしむしろそれをチャンスと捉え、今まで以上に練習に打ち込んだ。その結果、翌年の2021年の大会では金メダルをとることができた」と語った。富田も「高校最後の大会で味わった悔しさをバネに、これからは自分に奢ることなく、常に謙虚な姿勢で練習に打ち込むことの大切さを改めて知ることができた」と話した。
取材を通じて、彼らのアスリートとしての高い向上心を感じ取ることができた。様々な紆余曲折を経た彼らだからこそ、そのような境地に達することができたのだろう。更なる高みを目指す彼らの挑戦は始まったばかりだ。