饅頭、羊羹、団子など日本の伝統的なお菓子である和菓子。そんな和菓子の魅力を広めようとしているオンラインサイトがある。それが「旅するように和菓子と出逢う」(以下、旅わが)だ。今回、旅わがを運営している、株式会社ジーエークロッシングのディレクターであり、旅わがの編集長である世古寛子さんに話を聞いた。
旅わがは、世古さんの和菓子が好きという気持ちと一つの疑問から始まった。洋菓子と比べ、和菓子の需要が少ないことに疑問を感じていた世古さんは、和菓子好きは多いのに、購入者が少ないのは、和菓子屋を知ってもらうきっかけが少ないからだと考え、ECサイトの立ち上げを決めた。最初の出店者は7店舗だったという。
和菓子のみをセレクトしたECサイトは前例がほとんどなく、取り組みや理念に共感し、協力してくれる店を探すことから始めたそうだ。世古さんは「ゼロからのスタートだったので、店に協力してもらえるか分からなかった」と振り返る。
旅わがを見ると、写真や説明が分かりやすく記載されており、まるで本当に店に行ったかのような気分になる。その背景には、直接取材の努力があった。世古さんは取材について、「普段は見ることができない製作工程を見て、同じ商品のジャンルでも、店ごとに味やこだわりが違い、手間暇がかかっていることに気付いた」と話す。旅わがを通して、店や職人のこだわりの背景を知り、顧客に商品を買ってほしいそうだ。また、旅わがでは「旅わがJOURNAL」というコラムや取材の裏話を掲載している。世古さんは「手軽に和菓子にまつわることを知ってもらうきっかけになればうれしい」と語る。
世古さんは和菓子について「メジャーなカテゴリだけれど、特殊なカテゴリでもある」と話す。和菓子屋は老舗が多く、新しいことを取り入れながら、同じ商品を売り続けているからだ。また、和菓子の魅力について「まだ模索中だが、昔から受け継がれ、子どもから大人まで食べ続けられているのは深い魅力があるからだ」と語った。最後に世古さんは「ECサイトをきっかけに和菓子の魅力が伝わり、店に行く人が増えてくれたらうれしい」と話した。