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週刊少年マガジンとは講談社により1959年に発行された漫画雑誌である。『あしたのジョー』、『FAIRY TALE』、『東京卍リベンジャーズ』など昔から現代まで数々の名作を生み出してきた。漫画の一時代を築いてきたマガジンの漫画家たち。そして、漫画を作る上で欠かせないのは編集部だ。
漫画雑誌の編集部とは果たしてどんな重要な役割を果たしているのだろうか。長年、マガジンの編集部に務めており、元まんが学術文庫の編集長である石井徹さんに漫画が発行されるまでの工程などの話を聞いた。
石井さんは今まで多くの漫画家の担当を持った。その豊富な経験から漫画が発行されるはじめの一歩として重要なのが打ち合わせだという。これについて石井さんは「まず、作品の構想段階で悪い点より、良い点を先に述べることで漫画家が落ち込まないようにする。そして、編集がアイデアを出すことが重要だ。漫画家の視点ではなく、読者に近い客観的な意見をすることでより良いものになる」と語った。
では、アイデアを引き出すには具体的にどうすればよいのか。その方法を石井さんに聞いたところ「漫画家が気づかないうちに引き出しを見つける。例えば、生い立ちや高校時代の部活などどんなジャンルが合っているのか、どの人生経験が使えるかなどを話しながら探しているのだ」と言った。漫画家にふさわしい世界観や話に導くことも編集の役目なのである。
漫画家と編集は打ち合わせを重ねていき、原稿を完成させる。原稿を完成させる前にするのが、ネーム(漫画のコマ割り、構図・セリフ・キャラクターの配置を大まかに表したもの)と下書き(ネームをより詳細に書き込んだもの)だ。
ここで編集が役目を果たすのはネームだという。石井さんによると「編集の経験からコマ割りや演出などを見極める。そして、どのコマが良いか取捨選択をする」という。ネームが完成し、下書きの段階に入れば漫画の内容に関する編集の仕事はほぼ終わりになる。残りは漫画家の下書きから原稿にするペン入れの作業は作画の仕事となる。
このような作業を通して原稿が完成し、編集部が掲載に向けて動く。昔は紙の原稿だったが、現在は漫画を書くソフトが発達し、データの原稿が多い。では、データの原稿をどうやって紙の漫画雑誌として発行するのだろうか。まず、大量に印刷ができる版を作るための製版所にデータを送りオペレーターが修正する。「オペレーターは、漫画の文字のフォント選びなど校正をする。漫画雑誌に掲載できるデータとして完成させる役割だ」と石井さんは話した。
次に、印刷所へデータを送る。そこで、人の身長ほどあるロール紙を用いて、印刷をする。ここで使われている紙は漫画が裏写りしないよう特殊な紙が用いられる。全ページの印刷が終わると、製本社に運ばれる。ここで、一冊の漫画雑誌として完成し、全国の本の問屋へ発送されるのだ。
こうして漫画雑誌が発行されるのだが、発行後重要なことがあると石井さんはいう。「読者による漫画の人気アンケートが不可欠だ。これにより、どの漫画が読者に人気かを編集部が判断するため、打ち切りにならないようどのような方針にしていくかを決める指針となる」と語った。このアンケートは正確で1位を今まで獲った作品は、単行本の売上が高くなる傾向にあるそうだ。
最後に漫画づくりのノウハウを聞いたところ「映画と違い編集と二人三脚で製作するのが漫画だ。なので、漫画家がアイデアなどに苦しんでいるときアドバイスをするのは当然だが、時には漫画の原作者として編集が役割を果たすことが理想だと考える。それが売れる漫画になる秘訣だ」と話した。
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週刊少年マガジン編集部