
浅草の雷門から徒歩2分ほどにある勉強堂ビル5階に、茶道の文化に楽しみながら触れられる体験型カフェがある。その名も茶禅。本格的な茶道体験から和菓子作りを通した伝統文化体験まで国内外を問わず多くの人に茶道の魅力を知ってもらいたいと開かれた。
株式会社茶禅の代表取締役で茶道家の竹田理絵さん(88年・教卒)は「敷居の高い茶道を、和菓子作りを楽しみながら、多くの人に身近に感じてもらいたかった」と話す。『教養としての茶道』などの著書でも知られる竹田さん。この日も和室には家族連れをはじめ幅広い世代の客が体験を思い思いに楽しんでいた。
体験が始まると、紫陽花とてるてる坊主の二つのモチーフから選び、それに合わせた色とりどりの餡が目の前に並べられた。これを合わせて和菓子を作っていく。筆者は紫陽花を選んだ。それぞれの餡には寒梅粉が練りこまれ、これによって独特のもちもち感が出るのだという。くっつかないように手を湿らせながら、餡をこねていく。手のひらや指先を使いながら餡を伸ばし、さらに餡を包んでいくと次第に紫陽花の形に近づいて行った。筋をつける際には三角棒と呼ばれる木製の棒を使い、下から上に丁寧に餡に筋をつけていく。集中力が試される作業だ。最大の難関は紫陽花の花びらづくり。指で押しながら形を作っていく。最後に竹串で花びらに筋をつけ和菓子は完成した。次は抹茶を点てる。「手の力を抜いて数字の1を描くように」との竹田さんの声に合わせ手を動かすと抹茶の表面がきれいに泡立った。お手本のようには上手く行かなかったが自分で作った愛らしい紫陽花は抹茶と合う格別の味だった。さらに深く和菓子をはじめとした日本の伝統文化を知りたいと思うきっかけになった。