第44回ぴあフィルムフェスティバルの入選作品が7月1日に発表された。30倍以上の倍率を制し、入選した作品のうちの一つに本学に在籍する金子優太(物3)が監督を務めた「瀉血」があった。

日本一の映画祭典「ぴあフィルムフェスティバル」。大人気作品『キングダム』の監督を輩出した祭典でもあり、毎年7月になると、映画監督を目指す新進気鋭の若手数百名が作品を応募する。第44回目になる今年は520もの作品がエントリーされ、16の作品が入選した。その16の作品のうちの一つが、金子さんが監督を務めた『瀉血』だ。

 幼い頃の金子さんは、映画鑑賞の好きな少年だった。高校生になると、映画制作に関心を抱くようになったという。大学入学後、青山クリエイティブチームに入部し、本格的に映画制作について学ぶようになった。普段は、キャンパスで撮影や外でロケを行うなどして、本格的な制作活動を行っているそうだ。

 『瀉血』は、近年社会問題となっている家庭内暴力を扱った作品だ。「目上の人は尊敬しなければならない」という日本独自の価値観にメスを入れた内容となっている。かなり硬派な映画に見えるが、金子さん自身、1960年代の社会派映画が好きで、それらに影響を受けて今回の作品を作ったと語った。

 金子さんは今回の作品を作る上で、「視聴者に語る」ということを重視したという。「お金をかけて作るからには、小説では語れないようなものを作りたい。映画は時間が制限されていることが長所だと思う。その長所を活かし、映像や光、音で語りかける作品を作りたかった」と語った。

 将来について、金子さんは「映画監督になりたい。もしなることができたなら、映画で語るということを大事にして、作品を作っていきたい」と話した。また、残る大学生活については、「卒業記念として、広いキャンパスでロケを行って映画を一本撮りたい」と語った。

『瀉血』はU-NEXTとDOKUSO映画館で10月31日まで配信される予定だ。金子監督の個性が86分間常に光っている作品で、見終わった瞬間、観客は大きな感動に満たされることになる。興味のある人はぜひ見てほしい。一生忘れられない作品になること間違いなしだ。