関東学生選手権と日本学生選手権の水泳競技大会が8月に開催された。日本学生選手権が大学最後の大会となる4年生。今回はその4年生の五味桂士(総4)に話を聞いた。
8月5日から4日間にわたって行われた関東学生選手権。この大会で五味は200㍍個人メドレーと200㍍バタフライで大会記録を塗り替えるタイムで見事優勝を果たした。大会前からこの2種目での記録を狙っていたそうで、「自分の思い通りになってよかった。大会のことがよくわからない1年生にも、自分が活躍する姿を見せられてよかった」と笑みをこぼした。そしてその3週間後には、五味が「水泳人生のゴール地点」と位置づけた日本学生選手権が開催された。
五味の水泳歴は20年。まさに人生の大半を水泳に費やした五味だったが、一時期水泳から離れた時期があった。「大学入学時、自分の実力に限界を感じ、今後の人生のためにも水泳以外のことをしようと思った」と話す五味。しかし普通のキャンパスライフを過ごしてみて一日の充実度が水泳をやっていた頃と全く異なっているように感じたという。さらに五味にとって大きな存在となったのは、同じく水泳をやっていた弟の智信だ。五味が水泳を離れていた同時期、智信は高校の全国大会で大きな活躍を見せていた。そのことが五味の水泳に対する闘争心に火をつけた。
最後の大会では思うように結果が出なかった。そして迎えた大会最終日、最後の種目2×400㍍フリーリレーが始まる前、智信に声をかけられた。「『出せるものは全部プールに置いてこい』と言われた。その言葉で自分にスイッチが入った」と語った五味。最終的にこの種目で自己ベストを更新、チームも決勝1位という成績を残した。大会について「苦しかったが、最後に納得いく形で終われてよかった」と振り返った。
五味が中学の頃よく聴いていたというGReeeeNの『道』に『振り返ると歩んできた道のり以上に濃いものを得られたか?』という一節がある。「水泳を通して、刺激し合える仲間にたくさん出会えたことや大きな舞台でレースができたのは何ものにも代え難い大きな財産だ。水泳人生において水泳以上の価値あるものを得られた。弟をはじめ、今まで支えてくれた方々には感謝しかない。水泳で培った経験や人脈を次のステップに活かしていきたい」と充実感をかみしめた。1人の青年の、人生という名の道はこの先も続いていく。