「90%はきついことや逃げ出したいことばかりだったが、サッカーをやめたいと思ったことは一度もない」そう語るのは、昨年全国サッカー選手権で優勝した高校サッカーの名門校・青森山田でゴールキーパーを務め、この春、本学に入学した沼田晃季(マ1)だ。厳しい環境だった高校時代を経て、現在もサッカー部に所属する沼田に、これまでの経験や本学に入学してからの心境について話を聞いた。

 サッカーを始めたきっかけは、初めて観戦した鹿島アントラーズの試合だった。スタジアムの雰囲気と鹿島の応援団であるインファイトのメンバーが叩く太鼓の音が、体の中に響いてくるなかで、堂々とプレーをしている鹿島の選手を見て、自分もこうなりたいと思い、サッカーを始めたという。

 高校サッカー部では冬に雪中でトレーニングを行うなど、かなり過酷な環境で練習に励んでいた。昨年の全国サッカー選手権で優勝したときのことを「新チームが始動するときに『青森山田高校初の三冠達成をしよう』と大きな目標を掲げてきた。選手権決勝の最後の笛が鳴った瞬間は、いろいろなプレッシャーから解放された気分でほっとしたことと『もうこのメンバーでやるのは最後か』と悲しい気持ちが混ざり、複雑だった」と振り返る。

 これまでサッカーに打ち込んできた沼田に、大学生になって何か変化はあったかと聞くと、「周囲の環境が高校時代から180度変化した」という意外な答えが返ってきた。それは勉強とスポーツの両立が困難になったこと。「スポーツでは正直他の人に負けるイメージも湧かない」という沼田だが、「勉強は半年で心を折られた」とのことで、「でも、乗り越えてみせる」と決意を新たにした。

 現在、本学サッカー部は関東1部昇格を目標としている。新入生を迎え入れたサッカー部の活躍に期待したい。