東京都大学吹奏楽コンクールで金賞、9月10日に府中の森芸術劇場で行われた都大会で銀賞と、本学吹奏楽バトントワリング部が華々しい成績を残した。
吹奏楽バトントワリング部の学生指揮を務める古川侑樹さん(済4)にとって8月21日に開催された東京都大学吹奏楽コンクールでの演奏の出来は満足のいくものではなかった。そのため、審査員から「ゴールド、金賞」と言われた時は驚きで一瞬頭が真っ白になったそうだ。この瞬間、吹奏楽バトントワリング部の15年ぶりとなる都大会出場が決定した。しかし、彼らはこれだけでは終わらなかった。約2週間後に開催された9月10日の都大会で、銀賞を収めたのだ。去年まで予選落ちを続けていた彼らが、ここまでの急成長を遂げた理由は何なのか。その謎を探った。
吹奏楽バトントワリング部は月・水・土・木または金の週4回の練習を行っている。練習では、主に基礎の徹底に重点を置いている。これはいくら発展的な技術を身につけても基礎ができていなければ、よりよい結果は残せないという方針の下、行われているものだ。また8月21日の金賞受賞から9月10日の都大会出場に向けて、指揮の先生の指導で新たに、息の使い方や姿勢の改善に向けた練習も行った。部員の多くは、最初「これくらいで演奏の出来が劇的に変わるはずはない」と半信半疑だったそうだ。しかし、実際にやってみると音もよく出るようになり、演奏の出来も以前と比べて格段によくなったという。
しかし、技術的な改善だけではない。今回の2つの結果につながった最も大きな要因は別にあると古川さんは語った。それが日々の練習を通じて生まれた「団結力」だ。「コンクール、都大会といっても志願者全員が出場できるわけではない。出場する部員はできなかった部員の思いを背負い、練習に取り組む。一方で、出場しない部員も出場する部員の背中を見て『来年こそは自分も』と練習に打ち込む。このように部全体が切磋琢磨できる環境になったことが、今回の結果につながった大きな要因だ」と古川さんは話した。
しかし、練習中つらかったこともあるという。その最も大きな出来事が新型コロナウイルスによる影響だ。7月、8月にコロナの第七波が始まったこともあり、対面での練習が満足にできない状態が続いたという。また、コンクール、都大会自体がなくなってしまうのではという不安もあり、部全体のモチベーションが低くなった時期があったそうだ。それでも、日々の練習を怠ることがなかったのは、「自分たちは着実に上手くなっている」という精神的支えがあったことと、部の「団結力」があったからに他ならないと、古川さんは語った。
今後の展望について、古川さんは「自分は4年生だから、12月の定期演奏会を最後に引退する。後輩たちには自分たちが築いた実績を土台として、演奏をブラッシュアップし、全国大会などより大きな大会に出場してもらいたい」と語った。現状に満足せず、常に高みを目指していく。その姿勢に今後の更なる飛躍を確信した。