今年、開館から24年目となる岡本太郎記念館。そこにはどのような世界が広がっているのか、どのような魅力があるのか、岡本太郎記念館事務局の川合衣里さんに話を聞いた。

 岡本太郎記念館は当初、岡本太郎の住居兼アトリエとして生活していた場所であり、岡本太郎の死後、仕事でもプライベートでも長きにわたってパートナーであった、岡本敏子が当時、「ここに来た人が刺激を受けて何か発信できるような場所にしたい」という信念を抱き、周囲の反対を押し切って改築を実行したそうだ。そして今でも当時のアトリエや応接間が残されている。応接間には岡本太郎が手掛けたティーセットをはじめとした小物や様々な形をした椅子が並べられ、手の形をした椅子の上には、岡本太郎、岡本敏子の2人の写真が飾られている。一方でアトリエには、名前すら付けられていない多くの油彩作品や床に飛び散った絵の具が残されている。さらには当時の使っていた筆やオリジナルの絵の具なども残されており、つい最近まで岡本太郎本人がその場にいて、作品を生み出していたのかと感じさせる。

 2階では企画展を行っており、11月20日まで「岡本太郎の1世紀」を開催している。当時の岡本太郎が雑誌のために描いた絵とそのドローイング、そしていくつかの油彩作品が展示されている。また別の部屋では映像での展示を行っており、『明日の神話』の制作過程と没後の再生プロジェクト、『太陽の塔』の内部とそこにある彫刻の再生プロジェクトを映している。

 最後に川合さんは「岡本太郎は油彩や建築、プロダクトといった多くの種類の作品を制作し、今も多くのパブリックアートが残っている。当時も今もあまりいないタイプの芸術家だろう」とし、「ぜひここに来て、岡本太郎の作品から溢れるエネルギーを、ガラス越しではなくそのままに感じ取ってほしい」と語った。

 岡本太郎記念館は徒歩で行く場合、表参道駅から7分ほどで行くことができる。本学からも東門を通れば、すぐに行くことが可能だ。講義の合間や講義の後に行ってみてはいかがだろうか。