青山キャンパスから徒歩10分、閑静な住宅街にひっそりと美術館が佇んでいた。ヨックモックミュージアムである。「ヨックモック」と聞くと、高級な贈答菓子を想像する人も多いだろうが、この美術館では、芸術の面白さを追求し、発信している。ヨックモックミュージアム広報の松本純さんに話を聞いた。

ヨックモックミュージアムは、株式会社ヨックモックホールディングスの現会長、藤縄利康氏のプライベートミュージアムとして、一昨年開館した。ヨックモック創業者の「菓子は創造するもの」という想いを受け継ぎ、ヨックモックグループが30年以上かけ、ピカソのセラミック作品(陶器)を収集した。その数は500点以上に上り、様々な企画展を通して見ることができるという。

美術館の特徴として、「近年注目されているピカソのセラミックを中心とした企画展の面白さだけでなく、ピカソの豊かで自由な発想が投影された『菓子とアートのコラボレーション』や、独自のアート体験も楽しむことができること」と松本さんは語った。誰もが驚きと発見に出会い、アートによって人と人とのつながりを創造する場を目指しているという。

その一つに「YⅯアートセッション」という、美術館で毎月開催している教育プログラムがある。芸術の医学的な効用に着目した「臨床美術」を基礎としており、五感を刺激することで右脳が活性化し、ストレス解消やリフレッシュ効果が期待できるという。「気軽にアートを楽しみたい方、創造性を高めたい方、心の疲れを感じている方など、誰でも自由に自分を表現していただくことで、心を元気にするプログラムだ」と松本さんは話した。

最後に、今後の展望について尋ねた。「人が潜在的に持つ創造力を豊かに育む機会を提供していく。それにより、洗練された美しさでありながら生活の一部のように気軽に訪れることができる場所として、菓子とアートの可能性を広げ、文化的貢献を果たす美術館を目指している」という。