「平和の祈り チャリティー・コンサート~天からの贈り物 ソプラノとオルガンの調べ~」が11月5日、相模原キャンパスウェスレー・チャペルにて開催された。荘厳な雰囲気の中で、約170名の観客は祈りを捧げた。

ソプラノは三塚直美さん、オルガンは本学出身の堀井美和子さんを迎え、アンコールを含めた全11曲を披露した。入場料はワールド・ビジョン・ジャパン、アルペなんみんセンターとメノナイト中央委員会に全額寄付される。3つの団体は現在、ウクライナをはじめとする難民・避難民の支援活動を行っている。

約1時間のコンサートは、胸の高まりを感じさせるオルガンソロ『幻想曲 ト長調 BWV572』から始まった。オルガンは古くから、神にささげる楽器として用いられてきたという。

冒頭の挨拶では、堀井さんがウェスレー・チャペルのオルガンの歴史について話した。デンマーク製のこのオルガンは、製作開始から6年もの歳月をかけて1983年に完成したという。当初は厚木キャンパスに設置されていたが、キャンパス移転に伴い2003年に相模原キャンパスにやってきた。「パイプの数は2817本。テレビ番組などにも取り上げられる、立派なオルガン」だと堀井さんは説明した。

2曲目からはソプラノの三塚さんも登場し、会場はオルガンとソプラノの息の合ったハーモニーに包まれた。そして8曲目には、フォーレによるレクイエム『ピエ・イェズ』を演奏した。死者の魂を慰め、安らかに眠れるようにと神に祈るための音楽をレクイエムという。ラテン語で「慈悲深いイエス」を意味しているこの曲はまさに、安らぎに満ちた美しさを感じられた。三塚さんは「演奏曲を決める際、この曲はすぐに2人の意見が一致した。今回のコンサートの趣旨にぴったりな一曲になっている」と話した。

コンサートの最後に、堀井さんはこんな話をした。「今もなお、世界各地で起こり続ける戦争や紛争。そんな中で自分は何をしたらいいのかわからず、無力感に襲われることもあるかもしれない。でも、決して諦めないでほしい。大切なのは、自分自身が平和を作り出す人になろうと努力することだ」。今回のコンサートは文字通り、物騒きわまる日常から心が洗われるような1時間となった。

本学では、スマトラ島沖地震や東日本大震災といった大規模災害が発生した際に、被災地を覚えるためのコンサートを開催している。今回のコンサートを主催した宗教センターは「誰もが暴力に脅かされることのない日が来ることを、私たちは切に望むばかりだ。平和がすみやかに訪れますように」とコメントした。

次回のチャリティー・コンサートは12月3日、相模原キャンパスにて開催される。「セザール・フランク生誕200年記念」と題し、オルガニスト坂戸真美さんとヴァイオリニスト矢部達哉さんを迎えて行う予定となっている。