2022年度から開発が始まった、坂本研究室の超小型衛星ARICA-2。この超小型衛星が、JAXAの革新的衛星技術実証4号機の実証テーマの一つとして選定された。

 坂本貴紀教授は、「ARICA-2は、突発天体を発見したら、その発見情報を地上に知らせる速報システムを宇宙で実証することを目的としている」と語る。ARICA-2は、特にガンマ線バーストの観測を目的として作られている。

 衛星が地球を回る時間は90分ほどだが、情報を得るためにはアンテナなどを用意して通信する必要がある。しかし、90分で地球一周するほどの速さで回る衛星は通信できない時間が発生する。ARICA-2で検証するのは、衛星よりもさらに上の民間衛星へと情報を伝え、民間衛星通信を通し情報を地上に下ろすという新たな速報システムだ。

 このプロジェクトは、元々ARICAという同名の小型衛星で実証しようとしていた。しかしARICAは、現在通信が確認されておらず、ARICA-2は、そのリベンジとも言える。より電力を確保できるよう太陽電池パネルを大きくすることや、衛星そのもののサイズを少し大きくするなどの変更がされている。また、ARICAのように全く通信が取れないという状況にならないために、民間衛星通信だけではなくアマチュア無線帯も使用し、地上から衛星の電波を受けることができるように変更を加えた。

 ARICA-2の開発は学生主導で、各部品の製作を分担して行っている。学生たちが議論を交わす状況を見ると、坂本教授は「安心してうまくいっているとわかる」と笑った。

 ARICA-2の打ち上げは2024年度の予定となっており、現在は急ピッチでその開発が進められている。「ARICAは『青山学院大学』のAを掲げさせてもらっている。本学の名前が入った衛星が上がることを初めて知ったという声を、学生だけでなくOBOGからもいただき、励みになった。協力して衛星開発ができるという環境なので、協力し、成功に導いていければと思う。」と、坂本教授はARICA-2への思いを語った。