
4月12日から14日にかけて行われた未来食配布イベントには多くの人が訪れた。開催にはどのようなきっかけがあったのか、どのような苦悩があったのかを聞いた。
イベント開催のきっかけについて、本学国際政治経済学部公認団体『SANDS』の未来食企画責任者である南直冴(比3)さんは「2022年度から企画していた、世界食糧デーに関するイベントがあった」と語る。10月16日は世界食糧デーとされており、この日に向けて、企画を進めていた。しかし、より多くの学生が集まる時期を考慮し、今年4月の開催に至った。
イベントの開催にあたって、懸念していたことが二つあったという。一つは親しみのない食材を配布することだ。今回配布された商品の中には、コオロギパウダーを使ったスナックをはじめとして、あまり日常生活で目にすることのない食品が多くあった。そのため、まずは興味を持ってもらうために、袋のデザインの工夫から始めたという。「普段口にすることのない食材だからこそ、食べる前から興味を持っていただきたい」と話した。
もう一つは、エンタメと啓発のバランスについてだ。「世界的な食糧問題の啓発を目的としながら、エンタメ要素を取り入れて、気軽に興味を持ってもらいたい」という思いがあり、二つを両立させることに対する大きな不安があったそうだ。「最初は袋に全ての商品を入れて配布する企画が候補にあったが、それでは好き嫌いを考えない押し付けが起きてしまう可能性があるため、興味がある商品を選んでもらうことで普段なじみのない食材への理解が広まるのではないかと考えた」と語る。その結果、長蛇の列ができるほどの大盛況となった。
今回のイベントについて、「食糧危機の問題は大切なことだが、今回は新しい食事の提案をメインテーマに置いた。食糧危機という大きな問題の視点だけで見るのではなく、肩の力を抜いて、食事の選択肢が増える機会として捉えてほしい」と話す。今後は、今回のイベントのような一過性のブームではなく、日常生活への定着を目指し、学生食堂のオリジナルメニュー開発を目標としている。