親のわがままな恋愛に振り回され、孤独を感じながら暮らしてきた高校生、暁海と櫂。物語は、母に連れられた櫂が瀬戸内の小さな島に転校する場面から始まる。クラスメイトとして運命的に出会った二人は、互いの苦悩を知るうちに惹かれ合い、卒業後は東京で一緒に暮らすことを誓う。やがてすれ違い、それぞれの道を歩むこととなった二人は、まだ心のどこかで…。
今年の本屋大賞に輝いた本作品。社会問題であるヤングケアラーを題材に、二人の葛藤と成長を描いている。暁海の父の不倫相手、林瞳子が言った「自分の人生を生きることを、他の誰かに許されたいの?」というセリフには、読者も深く考えさせられるだろう。