地上波ラジオをPCブラウザやスマホアプリから聴取できるインターネットサービス「radiko」。その開発・運営を行う株式会社radikoを訪れ、話を聞いた。

 radikoがサービスを開始したのは2010年。リスナー減少や受信機器の製造台数減少などにより、メディアとしての危機に瀕していたラジオ業界を救うべく立ち上げられた。当初は地域ごとのリアルタイム配信のみだったが、2014年には全国のラジオ番組を聴取できる「エリアフリー」が、2016年には番組放送後1週間の聴き逃し配信サービス「タイムフリー」がスタートした。なお、「エリアフリー」は有料会員「ラジコプレミアム」限定の機能となっている。

 radikoがラジオ業界にもたらした変化について、取締役・プラットフォーム推進室長の坂谷温さんは「スマホの普及に伴ってradikoの利用者が増加し、radikoアプリが携帯ラジオの代わりになった」と話す。これによって災害情報メディアとしてのラジオの役割を果たしつつ、人の声の温もりというラジオならではの価値を届けられるとのことだ。また、番組が話題になった後でもタイムフリーで聴けることや、エリアフリーで全国のラジオが聴けることは、radiko設立当初から目指していた変化だという。一方で、「ラジコプレミアム」の会員数が昨年の夏に100万人を突破したことについては「ラジオが持つ力を改めて実感した」と話した。

 毎年行っているユーザーアンケートの最新の集計では、10~20代の回答者の約7割が「radikoで初めてラジオを聴いた」もしくは「radikoで久しぶりにラジオを聴いた」と回答したという。若い世代へラジオを広めるための取り組みについて、プラットフォーム推進室・データマネジメントチームの長谷川史織さんは「前日に人気だった番組や検索ワードを集計して、翌日、そのデータを基にSNSでおすすめ番組を紹介している。ただ一方的に発信するだけでなく、出演者の〝推しポイント〟を募集して、それをまとめて共有するといったことも行っている」と話す。SNSでの活動以外にも、ラジオ制作現場を描いたアニメーションCMなどで若者への認知拡大を図っているとのことだ。

お手持ちのスマホでradikoを開いてみよう。深く広がるラジオの世界が、あなたを待っている。