
今回受賞対象となったのは、ロケットや超音速航空機の低騒音化を目的とし、エンジン排気流から発生する騒音のメカニズムを解明した研究である。
小澤助教は、学生のころから航空機や宇宙機の開発に興味があったという。大学4年次に、JAXAの宇宙科学研究所で研究する機会を得たことがきっかけとなり、ロケットの打ち上げ騒音の研究を始めたそうだ。
研究で苦労したのは、0から実験装置を構築して信頼できるデータを計測することだった。小澤助教は6年前、東北大学博士課程に編入学した。当時は実験装置すらなく、実験装置の設計や計測システムの構築を試行錯誤しながら、研究を続けた。ようやく信頼できるデータが計測できるようになるまで、1年以上を費やしたそうだ。その後、データが取れるようになってからは、順調に成果を上げた。この研究により、超音速噴流の物理メカニズムの解明や、音響の指向性や音源位置の可視化の手法開発、速度場計測の高精細化を実現した。
そして、当時の指導教員である野々村拓准教授に「奨励賞に応募してみないか」と勧められたことが、今回の応募のきっかけとなった。今まで受賞経験が無かったため、受賞が決定した際は「単純に『お、取れたか!』という驚きとうれしさだった」と自身の研究が客観的にも高く評価されたことをうれしく思ったそうだ。
今後の目標について、「ロケットや航空機の騒音問題を抜本的に解決するために、排気流の流れと騒音の物理現象の解明だけでなく、低騒音化を実現する制御をどのようにやるべきかを研究していきたい」と話す小澤助教。騒音研究の分野の発展が期待される。