人間の三大欲求の一つとも言われている睡眠。本学教育人間科学部心理学科で教鞭をとる松田英子兼任講師は、夢と睡眠の研究を行っている。

その始まりは大学生時代に遡る。人間は一晩に3つから5つの夢を見るが、起床後そのうちのどれをどれだけ覚えているかには個人差がある。松田教授はこれらの違いがどのような原因によって生じるのかを研究し、卒業論文の題材とした。その後、修士課程、博士課程でも睡眠に関する研究を行い、現在は薬に頼らない悪夢や不眠症の治療や、子どもから高齢者にかけての睡眠の発達、夢を自由自在に操作できる明晰夢者の研究を行っている。「まさかそれを30年やるとは思っていなかった」と松田兼任講師は語る。

また、睡眠というテーマならではの苦労もある。研究は参加者が就寝する夜間に行うため、実験する側が寝そうになることもある。夜10時過ぎから実験の準備をして、0時から1時に就寝してもらい、朝7時から8時に終了するため、体力が必要だ。人の見ている夢は映像にできず、起きたときの報告をもとに研究するため、科学との相性も悪い。しかしその一方で「夢の内容を知ると一見するだけではわからないその人の才能など特徴を知ることができてとても面白い」とも語る。

そんな松田兼任講師は、本学学生に向け、自分の良さに気付いてほしいという。「みんな若いので、まだ気付いていない自分の可能性がどこかにある。何かに挑戦したり失敗したりして、体験することで苦手と同時に良さに気付くことができる。気付いていない人は、探るための体験をしてほしい。自分自身を一番の推しだと思ってまだ見ぬ自分の良さや可能性を探ってほしい。将来どうなるかは誰もわからないけれど、今関心があってやってみたいことは、長期的な目で見たら絶対に正解だと思う。ちょっとはみでるかもしれないけどこれ面白い!というものは長く続く。青学にはいろんな背景・関心を持った人がいる。青学の中だけの交流でもかなり多文化的な刺激を受けると思う。チャンスや出会いがたくさんあるはずだ」とエールを送った。