
2019年に創設されたコミュニティ人間科学部は本学で一番新しい学部で、今年度は五期生が入学した。社会教育を専門とする伊藤真木子教授に話を聞いた。
社会教育は学校教育や家庭教育とは異なり、地域社会における教育を指す。伊藤教授は、地域社会で行われる様々な文化・スポーツ・学習活動を支援する仕組みやアプローチの研究をしている。「それぞれの地域の文化や学び、活動などが豊かになっていくことは豊かな地域コミュニティの形成や地域振興につながる。そして、社会教育の発展にも結びつく」という考えのもと、日々研究を進めているそうだ。
伊藤教授がそもそも社会教育に興味を持ったのは、祖母がきっかけであった。「祖母は公民館を訪れ、そこで新しい仲間との出会いを通じて人生をより豊かにしていった。そんな祖母の姿を見て、大きな影響を受けた」という。大学教員を志すようになったのも、本を読むのが好きで、調査・研究が好きだったことに加え、大学時代の学びを通して、公民館だけでなく図書館などを含めた社会教育機関を総合的に考えたいと思ったからだそうだ。
そんな伊藤教授に、コミュニティ人間科学部の学生の印象について尋ねた。「人に関心があり、様々な人と関わることが好き。困っている人がいたらすぐに手を差し伸べたり、人との関係を大事にできたりする、素直な学生が多いと思う」という。その一方で、課題解決に向けた学びでは答えを急いで見つけたがる学生が多い印象も持つそうだ。「世の中の課題は、そう簡単に答えが見つかるものではない。比較的時間に余裕のある大学生だからこそ、じっくりと課題に向き合い、学ぶ姿勢を持ってほしい」と明かしてくれた。
創設から5年という節目の年を迎えたコミュニティ人間科学部。伊藤教授の考える、コミュニティ人間科学部の学生への期待を聞いた。「講義では様々な本を紹介している。学内の図書館を活用し、一冊でも多くの良い本に触れてほしい。また、講義外でも質問をしたり、研究室を訪れたりと積極的な姿勢を持つことで、教員との関わりを楽しんでほしい」と話してくれた。