今月から相模原面では、本学理工学部の学生が日々研究しているロボットシステムについて紹介する。知技能ロボティクス研究室では、人間の感覚動作をロボットに適応させて現代社会の問題を解決することを目指し、学生が日々研究に励んでいる。第一回目となる今回は、高本光規さん(院2)に話を聞いた。

高本さんは現代社会の食品産業における人手不足に注目し、主に包丁で食材を切る動作をロボットに適用させるための研究を行っている。このテーマに着目したきっかけは、地元愛知県での祖父の仕事が関係しているという。「祖父は地元の特産物である串あさりの生産をしているが、年々後継者が減っている。ある日、若者にも生産に携わってもらうために、串あさり作りを体験できるワークショップが行われ、私も参加した。しかし、生きたあさりを切り開ける動作が難しく、参加者は皆苦戦してしまった」と高本さんは振り返る。このような熟練の技ならではの感覚的な動作が継承できないことで、伝統が絶えてしまうのは悲しいと感じたそうだ。これらの問題を解決する第一歩として、高本さんは人間の感覚動作を自動化させることを目指している。

近年、調理作業の自動化は徐々に進められている。ところが、ある程度加工された状態の食材を調理していくものが多く、野菜や魚などを一から調理できるものはまだない。包丁で食材を切るというのは私たちからすれば一般的な操作だが、ロボットが食材の特徴を踏まえて見た目も綺麗に切断するのは難しい。そのため、センサーで食材の硬さなどを識別しながらロボットの動きを変えることで、食材を傷つけずに切断できる仕組みになっているという。高本さんの研究により救われる食品企業も多いだろう。今後の研究にも注目していきたい。

高本さんのロボットシステムを適用したロボットの様子