今大会は東西25大学が参加し、本学は個人戦・団体戦共に東西優勝枠として優勝を争った。試合は終始静かで、刀を振る音のみが響き、緊張感があった。

試合の演武は、個人戦・団体戦共に古流2本、全日本剣道連盟居合指定技3本の計5本行う。そして、3人の審判の判定で勝敗が決まり、団体戦はその勝利数で競い合う。

個人戦は、東西優勝枠の平野友稀(英2)、坂井柊介(シ2)、寺沢詔(総4)の3人が出場した。坂井は初戦で惜しくも敗れ、寺沢は初戦を3―0で進むも2戦目で敗れた。平野は、2戦目で、坂井を破った多那瀬実結(同志社大4)に勝ち準決勝に駒を進め、3位に輝いた。個人戦3位は、第34回大会以来2大会ぶり(第35・36回大会は中止)の好成績だった。

個人戦を振り返り、坂井は「初戦は同志社大学の4回生と、強豪選手だったため思い切りいこうという心持ちで臨んだ。悔しい結果となったが、自分の居合を存分に発揮できた試合だった」と語る。寺沢は、悔しさや清々しさを口にすると共に、恩師からの言葉についてや周りの人への感謝を述べた。平野は「東日本大会で優勝させていただいたこともあり、東日本を背負うようなつもりで試合に臨んだ」と東西優勝枠としての強い思いを明かした。また、3位という結果に対して「歴代の先輩方が素晴らしい記録を遺しておられるので、そこに並びたい、追い越したいという心持ちだった。今後の2年間もその気概を貫き通し、分厚い関西勢の壁を打ち破りたい」と意気込んだ。

団体戦には、平野、坂井、寺沢、小林慶(デ2)、今井洵之介(国政2)の5人が出場した。初戦では、前回大会王者の立命館大学と当たるもこれを破り、続く京都産業大学戦でも勝利を収め、準決勝に進んだ。しかし、前回大会3位の同志社大学に敗れ、決勝戦と同時刻に明治大学との3位決定戦に臨んだ。会場の全員が固唾を飲んで勝敗の行方を見守る中、先鋒の平野、次鋒の坂井、中堅の寺沢が勝利を収め、見事団体戦3位に輝いた。本学が団体戦3位となったのは、第25回大会以来で実に12大会ぶり(第35回大会は中止)の快挙だった。

団体戦を振り返り、小林は今大会への特別な思いやここまでの練習の日々を話し、今井は「主将として1年間部を引っ張ってきた集大成として、良い結果を出せたと思う」と語る。また、普段の活動が評価された喜びも口にした。

次に主将の今井は、今大会を振り返り、強豪の立命館大学への辛勝や同志社大学に完封されたことなど課題を挙げた。また、今後の目標は今年から目指している団体戦優勝だという。「私は主将を退くが、後輩に良いバトンを渡すことができたと思うので、この流れを受け継いでいって真の強豪校になってほしい」と今後への展望も明かした。

東日本のみならず、全国でもその実力を発揮した居合道部。強豪ひしめく関西勢を打ち破る日も近いかもしれない。そして、来年度の活躍への期待がより高まることだろう。

選手コメント全文

―個人戦振り返り―

坂井「昨年同志社大学デイヴィス記念館で見た夢の舞台で自分も試合をすることができたことがまず嬉しかった。初戦は同志社大学の4回生と、強豪選手だったため思い切りいこうという心持ちで臨んだ。悔しい結果となったが、自分の居合を存分に発揮できた試合だった。この悔しさを糧に来年、再来年、また全日本の舞台で優勝を目指したい」

寺沢「個人戦が終わった瞬間にあったのは、少しの悔しさとやり切った清々しさ。今までで一番納得のいく試合をすることができたのは、当日感謝の気持ちを込めて試合に臨んだからだった。試合会場に向かう電車の中で、お世話になった先生の言葉を思い返していた。感謝を持って開始線に立つこと、可能なら感謝の言葉を伝えてから試合に臨むこと。正直なところ、この言葉をいただいたときはあまりピンとこなかった。考えながら電車に揺られていると、去年の全日本大会前によく聞いていた曲がイヤホンから流れてきた。一年前に共感した『自分にとって誇れる何かが見つかりますように』という歌詞に、何も感じていな自分に気が付いた。その時、今日の結果が何であれ、私はもう大切なものを得ていることに気が付いた。それは努力した経験であり、挫けない自分であり、お世話になったたくさんの方々との繋がり。そう思うと肩の力が抜け、自分の居合を抜くことに集中することができた。充実した気持ちで大会を終えられたのは、ご指導くださった先生・先輩方、一緒に稽古してくれた同期・後輩たち、大会を準備してくださった皆さん、支えてくれた家族、今までお世話になったすべての方々のおかげ。本当にありがとうございました」

平野「東日本大会で優勝させていただいたこともあり、東日本を背負うようなつもりで試合に臨んだ」

―団体戦振り返り―

坂井「初戦から前年度優勝校の立命館大学と、強豪相手で緊張したが、個人戦と同じく思い切り自分の居合をしようと思っていた。先鋒を務めてくれた平野が勝ってくれたおかげで、次鋒の自分も平野に続こうという意識で臨めた。初戦から三位決定戦までずっと気が抜けない試合だったが、すべての試合で修練の成果を存分に発揮できた。試合を重ねるごとにチームの結束力が強まり、青学が勝つという意識を強く感じた。準決勝で同志社大学に負けた悔しさ、そして3位はおめでとうじゃないという意識を胸に、来年同じ舞台でリベンジし、全日本優勝を果たしたい」

寺沢「私の目には、今でもひとつ上の先輩方3人の頼もしい姿が焼きついている。一方今年は、4年生が私1人、しかもコロナ禍で入部時期が遅れているため、実質3年生。幹部になってからの二年間、去年の先輩方のあの背中を、自分は後輩に示すことができるだろうか?と問い続けていた。嬉しかったのが、団体戦5人中3人が2つ下の代だったこと。私が幹部だった頃の1年生にあたる彼らが団体戦メンバーに食い込むどころか主力として活躍してくれている姿に、胸が熱くなった。試合が終わって、後輩から『先輩の背中が頼もしかった』と言ってもらえたことで、この二年間が報われたような思いになった。そして結果は全日本三位。去年の結果を超えられたことで、お世話になった先輩にひとつ恩返しができたような気がする。そして私の頼もしい後輩たちには、これからも全力で頑張る姿を見せてくれることを期待している」

平野「自分が必ず一本とってこなければという気概で乗り切った試合が多かった。特に先鋒を任せていただく機会が多かったので、チームを勢いづける役目を担えたかなと思う」

小林「全日本という大変大きな舞台で演武させていただいた事と、開催に際しましてご協力してくださったすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいだった。私はこの5人の中で唯一東日本大会の控え選手だった。しかし師範や先輩方、同輩、後輩たちに支えられて全日本大会から選手として出場できたことを実感している。例をあげると、師範には全体稽古開始の1時間以上前から稽古をつけていただき、寺沢先輩には私の演武動画の解析をしていただき、お会いする度に指摘をいただいた。このようにすべての部活動関係者に助けていただいたからこその全日本大会出場、そして第3位だった」

今井「主将として一年間部を引っ張ってきた集大成として、良い結果を出せたと思う。団体戦は部の総力を測る指標でもあるので、11年ぶりに3位に入賞することができたのは自分たちの普段の活動が良かったからだなと思った。私個人としては床に泣かされ活躍できなかったが、普段の活動が評価されたようで少し嬉しい。来年こそは優勝したい」

―今大会を振り返って―

今井「ライバルと目していた学生居合道の三強の一角である立命館大に勝利できたのが一番大きな出来事だったが、辛勝であり完封とはいかなかった。京都産業は1年生が5人のメンバーのうち2人を占めていたため苦ではなかったが、同志社に完封されたのがやはり頂点との壁だと痛感した」

―今後の目標―

今井「今年から目指した団体戦優勝という目標を立てた。頂点を雲間に見ることができた反面その遠さも実感した。私は主将を退くが、後輩に良いバトンを渡すことができたと思うのでこの流れを受け継いでいってゆくゆくは真の強豪校になっていきたい」