高田祐彦教授は、中古(平安時代)文学が専門だ。特に『源氏物語』と『古今和歌集』を中心に研究している。
『源氏物語』に関心を持ったきっかけを、高田教授は「高校時代、『源氏物語』と『徒然草』の抜粋から成る本を勉強したときに、『源氏物語』の非常に大きな世界に関心を持った」と語る。解説の最後が「『源氏物語』は最後の主人公浮舟に解決を与えずに終わっている」といった意味の文章で締め括られ、大学に進んだら作品を通読したいと思ったという。大学2年次の『源氏物語』講読の授業はとても面白く、さらに3年次に入った『源氏物語』ゼミで本格的に文献を扱うようになり、研究への意欲が湧いていった。
また、『古今和歌集』などの和歌に関心を持ったのは「『源氏物語』の勉強をする中で、和歌を理解しないと『源氏物語』は捉えられないとわかったのが始まり」だという。
高田教授は『源氏物語』について、「数多くの人物を描き分ける作者の人間への確かな眼や、和歌や漢詩文、説話や伝承などを豊富に取り込んだ傑出した表現力が魅力。そして、人間とは何か、我々のこの世界とは何か、人は救われるものなのかという重い問いかけを持つ作品だ」と話す。
また『古今和歌集』の魅力についても、以下のように語る。「自然への深い愛着と人間の心に対する洞察が、易しい詞で歌われているところが素晴らしい。叙情と知性が見事なバランスで調和した歌集だ」。
日常生活について尋ねると「趣味は旅行や専門とは全く違う分野の読書。研究室では授業の準備や自分の研究、会議の資料作成などが中心だが、訪ねてきた学生と雑談することもある」と教えてくれた。
最後に高田教授は、学生に向けて「どんなことでも、自分でやってみることが大事。『これは絶対ダメだ』と内なる自分がストップをかけるもの以外は、いろいろなことを経験してみることを勧める。ただし、自分の体験だけを絶対視せず、豊かな想像力を持ち、他の人の体験や書物などから、この世界の広さを感じ取ってほしい」と語った。