「通っている子どもたちの居場所になってほしい」。そんな想いを掲げ、毎週水曜日に相模原市立青少年学習センターで開催されている無料塾「ふらっと。」。今回はその運営を担当する、青山学院大学Pоlaris学習ボランティア愛好会を取材した。


 愛好会長を務める阿部武志さん(社3)は「『ふらっと。』は勉強をするためだけの場にとどまらず、子どもたちにとっての居場所にもなってほしいと考え、人と話す楽しさも教えていけるようにしている」と話す。学生同士も「仲良く、楽しく」という雰囲気を作りつつ、生徒と学生が一対一で向き合える環境を大切にしているのは「ふらっと。」の魅力の一つだ。


 子どもたちと接するなかで大切にしていることを聞くと「一番は否定しないこと。否定せず、褒めるほうが自由な発想は生まれやすい」と話す阿部さん。「子どもたちには自分で考えて生きていく力を伸ばしてほしいので、発想力を潰してしまわないよう気をつけている」と子どもの成長を第一に考える姿勢を明かした。


 また、阿部さんは子どもたちから学んだことに、表情作りを挙げた。「子どもたちは機嫌や雰囲気を察する能力が高い。話している時に限らず、どのタイミングで子どもたちに見られていても恥ずかしくないような表情作りを心がけている」と語る。常に子どもたちと接しやすい雰囲気を作ることを大事にしようという心持ちは、阿部さんの良好な人間関係にもつながっておりよい学びとなったそうだ。


 子どもたちと誠実に向き合ってきた努力が形として報われることもある。活動を通して今までで一番やりがいを感じた瞬間は、教えていた生徒から手紙をもらったことだと阿部さんは語る。「先生のおかげで数学を好きになり、志望校に合格することができたという生徒の言葉を聞き、今まで頑張ってきて良かったと思えた」と幸せそうに話した。


 子どもたちが楽しく学び、居場所となる場所を作りたいという思いから始まった「ふらっと。」の活動。通常は中学生のみを対象としているが、夏休みは小学生も対象とするなど、活動の幅を広げている。今日も笑顔にあふれる雰囲気のなか、子どもたちと学生が互いに学びながら進化し続けている。