
本学では現在学長の方針である「新たな『青学ブランド』の構築」に取り組んでいる。その三本柱の一つとして掲げられているのが「生涯にわたる教育機関でありたい」という理念である。この方針を具現化する理念の一つとして、本学社会情報学部を中心に展開されているのがDX人材向け講座「ADPISA」だ。このADPISAの概要、そして今後のビジョンについて同講座を担当する居駒幹夫教授に話を聞いた。

居駒教授によれば、ADPISAは「情報システムアーキテクト」の育成を主な目的としているという。ADPISAでは単なるIT技術者ではなく、ITを活用した組織や人材システムを構築できる人材育成を目標としている。その理念に基づき、講義は一方通行の座学ではなく、参加者同士が対話を重ねるワークショップ形式で行われている。情報セキュリティやデータ活用といった基礎知識に加え、それらを社会の中でどう活用するかを考える実践的な内容が中心だ。実務に直結するスキルや柔軟な思考力を養うことを目指しており、居駒教授は「自分らしいキャリアを主体的に切り開く人が増える中で、応用力ある人材の育成が求められている」と語る。
居駒教授は、アメリカの大学生の約20%が社会人である一方、日本では1%未満にとどまる現状に触れ「本来は学生と社会人がともに学ぶ環境が理想だが、日本では社会人が学生と同様の時間を割いて学ぶことは難しい」と語る。そこでADPISAでは、60時間で履修証明が得られる短期集中型のプログラムを構築した。
受講者はIT業界に限らず、運送や教育、製造業など多様な業界から集まり、分野を超えた交流が生まれているという。いずれも急激に変化する社会に適応するため、リスキリングを目的として講座に参加している。
生成AIの登場など、技術革新が加速する現代において、キャリア形成の在り方も変わりつつある。かつてのように「一つの会社に長く勤める」ことではなく、リスキリングを通して新たなスキルを獲得し、自らの力でキャリアを切り拓く時代が到来する。その一助となるのがADPISAだと居駒教授は強調する。
2024年には産学連携を見据えた「ADPISAコンソーシアム」も発足し、学びの場が一層多様化・発展している。こうした動きの根底にはADPISAの「学び続ける姿勢」への強いこだわりがある。受講生は、受講期間中の効果に満足せず、修了後も常に知識をアップデートし、自らの成長を継続していく意欲が重視されている。
最後に、居駒教授は本学卒業生を始めとする社会人に向けて、「青春を過ごした大学に戻り、もう一度、青学のチャイムを合図に学び直してみてはいかがだろうか」と語った。
【関連リンク】
学長の方針: https://agu-news.a01.aoyama.ac.jp/feature/250
ADPISAのトップページ: https://adpisa.si.aoyama.ac.jp/
ADPISAコンソーシアム: https://adpisa.si.aoyama.ac.jp/consortium/