書店に足を運ぶと、店頭で一際目を引くのは今期のドラマの出演者が表紙を飾るテレビ情報雑誌。視聴者の目線に寄り添い、番組の見どころを余すところなく読者に届ける。本紙は人気テレビ情報誌『TVガイド』を発行する、東京ニュース通信社に取材した。同社コンテンツ事業局第一編集部の鏑流馬誉利さんを通じて、制作の裏側に迫っていこう。
『TVガイド』は編集長を筆頭に計10人程度のチームを構成し、発行作業にあたる。改編特集、グラビア取材など担当ごとにページを振り分け、2週間程度で取材と編集を完了させる。同誌はドラマの出演者を取材する機会が多い。編集部では作品の台本と資料を事前に読み、作品を理解した上で、質問案を検討する。取材対象者の過去のインタビュー記事を振り返り、質問案を練ることもあるそうだ。
「TVガイド」の魅力を尋ねると、鏑流馬さんは「60年の歴史」を挙げる。今年の8月に、『TVガイド』は創刊60周年を迎える。この長い年月は放送局、著名人達との友好な関係を築き、豊富な資料を生み出す源泉となっている。
出版不況が指摘されて久しい。近年は出版業に一層追い打ちをかける形で、SNSが日常に浸透した。鏑流馬さんは「ネットは速報性が大切。その点では、(雑誌がネットに)勝つのは難しい」としながらも、「抽出された情報に正確性はあると思う」と雑誌の意義を述べる。読み手が選びきれない膨大な情報を、限られたページ数に収める過程を踏むからこそ、可能になるということだ。
今後の目標について、「今年は創刊60周年突入イヤー。さらには70、80周年に向けて、読者を飽きさせない工夫・努力を日々重ねていくこと」と答える。続けて、「テレビを軸に持ちつつ、さらなる挑戦として昨年音楽専門誌『MG』を創刊、多角的に『TVガイド』を発展させていきたい」と展望も語った。鏑流馬さんたちの思いがこもった『TVガイド』を片手に、今日もテレビ番組を楽しもう。