4月に開催された国際会議「ICCRE 2023」で「Best Presentation Award」を受賞した原田直弥さん(機・院3)。今回は、原田さんが設計・実装を行ったロボティックベッド『HANARE』について話を聞いた。

 まず、従来のマッサージ機と『HANARE』はどのように異なるのか。「最大の違いは、マッサージを受ける人(以下、被施術者)一人ひとりの身体状態に合わせて施術できるかどうか。『HANARE』は、上部に設置したカメラやハンド部分の力覚センサで被施術者の筋肉の位置や身体の状態などを計測し、その情報をもとに施術を行う」と話した。施術は、本学フィットネスセンターの職員や熟練のマッサージ師の協力のもと、彼らの施術中の動作を解析してプログラミングを組んだそうだ。

 そんな『HANARE』の設計が始まったのは、約1年前。原田さんは、4年前に卒業した先輩の研究から着想を得て『HANARE』の制作に取り掛かったそうだ。「現代は、精神的なストレスを抱えている人やデスクワークの増加によって、体の不調に悩まされる人が増えている。さらに、高齢化が進んでいる日本では、人手不足が深刻になるのも時間の問題だ。自分が思うままに動くマッサージロボットの開発を通して、これらのニーズに応えたい」と熱い思いを語った。

 最後に、原田さんの今後の目標を聞いた。「これからは、指圧・揉む・さするだけでなく、もっといろいろな動きを再現したい。また、被施術者がリラックスできているかという心の状態まで施術に反映できるよう、研究を重ねたい」と話してくれた。マッサージロボットが私たちの暮らしを支える未来は、すぐそこにやってきている。